なぜ箱根駅伝は“関東限定”なのか?― 100年続いた制度と、全国化へのゆるやかな変化

Yahooニュース
この記事は約3分で読めます。

出典:[Yahoo!ニュース「箱根駅伝大改革 記念大会は4年に一度で26チーム 通常大会も24チーム]

箱根駅伝大改革 記念大会は4年に一度で26チーム 通常大会も24チーム(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
 箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟(関東学連)は25日、これまで5年に1回だった記念大会を4年に1回として、出場チームは3増の26チームとなることなど大改革を行うと発表した。この日、東京都の小

2025年12月、箱根駅伝は大きな改革を発表した。
2028年からは「記念大会」を4年に一度開催し、全国の大学にも門戸を開く。
通常大会も出場校が21→24に増える。

しかし、そもそもなぜ箱根駅伝は「関東の大学しか出られない」のか?
この記事では、制度的な背景と全国化の構造的課題を読み解く。

■ 1. 箱根駅伝は“全国大会”ではない

まず前提として、箱根駅伝は
**関東学生陸上競技連盟(関東学連)**が主催する地方大会だ。

つまり、出場資格は
関東学連に加盟する大学のみ

この制度は1920年の第1回大会から続いている。

■ 2. なぜ関東限定なのか? ― 3つの構造的理由

● 理由①:発祥が関東だった

箱根駅伝は、金栗四三らが「世界に通用するマラソン選手を育てたい」と
関東の大学陸上関係者が立ち上げた大会。

当時、大学駅伝という競技自体が珍しく、
関東の大学だけで始めるのが現実的だった。

● 理由②:地理的に“関東往復”しか成立しない

箱根駅伝は東京・箱根間の往復217.1km。
このコースは関東の地理に特化して設計されている。

全国の大学が参加するには、

  • 長距離移動
  • 宿泊費
    -交通費
    などの負担が大きく、現実的ではなかった。

● 理由③:正月開催という特殊性

箱根駅伝は1月2・3日という“正月”に開催される。
この時期に全国から選手を集めるのは、
日程調整・安全管理の面で難しい。

■ 3. 全国化の試みとその限界

● 第100回記念大会(2024年)で初の全国化

この大会では、全国11校が予選会に参加。
しかし、関東以外の大学は本戦出場を果たせなかった。

→ 京都産業大が最上位で27位。
→ 予選通過ラインとの差は14分以上。

競技力の差が浮き彫りになった。

● 2028年からは4年に一度の全国化へ

関東学連は「五輪イヤーに合わせて全国化する」と発表。

  • 通常大会:関東限定(24チーム)
  • 記念大会:全国予選あり(26チーム)

この制度は、
**「箱根から世界へ」**という理念に基づいている。

■ 4. なぜ全国化が“毎年”ではないのか?

● 理由①:運営負担が大きすぎる

全国化すると、予選会の規模が膨大になる。
交通・宿泊・安全管理のコストが跳ね上がる。

● 理由②:競技力の差が大きい

現時点では、関東の大学が圧倒的に強い。
全国化しても、地方大学が本戦に出られない可能性が高い。

● 理由③:箱根駅伝は“関東の文化”でもある

正月の風物詩として、関東圏の視聴者に根付いている。
全国化すると、地域密着型の魅力が薄れる懸念もある。

■ 5. カタレル的まとめ ― 箱根駅伝は“制度の物語”である

箱根駅伝が関東限定なのは、
単なる排他性ではなく、制度と地理と文化が絡み合った構造だ。

そして今、
その構造に“ゆるやかな穴”が開き始めている。

  • 五輪イヤーに全国化
  • 出場枠の拡大
  • 地方創生という新たな理念

箱根駅伝は、
「関東の大会」から「日本の文化」へ
少しずつ進化している。

タイトルとURLをコピーしました